ノミのある現場

最近の木造住宅の現場ではめっきり「大工仕事」を見かけなくなった。というのも変だが、構造材の加工はプレカットといってコンピューター制御による裁断機での工場生産がほとんどだ。したがって現場に納入される木材は既に「組み立て部品」として完成している。造作材にしてもコストの面からほとんどが建材メーカーによる「既製品」を使わざるを得ない。つまり現場では大工らしい手仕事は少なくなり、「組み立て作業」が主流になる。道具では丸ノコや、釘打ち機などのデシベルの高い機械が幅をきかせることになり、ノミなどの「木の目を読む」本来の大工仕事の出番が少なくなってしまった。
しかしそれでは寂しいということで、厳しい予算の中でも一つくらいは手仕事を取り入れたいことから、今回は看板となる正面のサッシを「木でつくる」ことにしたのです。ガラスをいれる溝や、取り合い部分の加工をノミで削りだすため、この現場だけの「一点もの」が出来るという訳です。

(一転して現場が美しくなります。