涼光

聖堂とか教会のその荘厳な雰囲気をつくり出している要素にステンドグラスがありますが、薄暗い高見に外光の透過によって浮かび上がる色ガラスはなんとも神秘的です。
西洋の教会のステンドグラスが聖書の世界を描いたものが多い中、ガウディのそれは無宗派ともいえる自然そのものをモチーフにした独特のものです。
サグラダ・ファミリア以外でガウディと云ったら文句なくこのステンドグラスを挙げます。バルセロナ市内から西へ約20㎞、サンタ・コロマ・デ・セルジョという町の司教区の中、松林に囲まれ、半分地下に埋もれたように建つのが、「コロニア・グエル地下聖堂」です。およそ教会とは思えぬ特異な姿で、怪物が口を開けたような大小の窓が周囲を覆っています。美しさの象徴と見返せば、その開口は女性自身に見えなくもない妖しい外観で、そのまま内部へつながって行きます。生き物の体内とも思える動きのある梁が縦横無尽に飛び交う中、その骨格の間に「光の花」が咲いているのです。様々な色の光がレンガの波に映り込み、涼にも似た癒しをつくり出しています。この窓を通してガウディは何を見たのでしょうか。

(ステンドグラス/地下聖堂)ガッシュ透明水彩