THE MURDER OF ROGER ACKROYD

ポワロものの最高傑作と云われますが、記憶にない程昔に読んだので・・やはり忘れてました。
いわゆる叙述トリックものです。たぶんこのスタイルの先駆けではないでしょうか。発表当時フェア・アンフェアの論争を巻き起こしたらしいですから。まさか事件を記録した物語りの語り手(ワトソン役)が★とは。つまりこのような作品は翻訳の仕方にも読み手の取り方に微妙な差が出るかもしれない。新潮文庫版は中村能三訳で、訳者はこの作品を純粋な文学として読めるように努めている。一度読み切りの探偵小説ではなく、読み返す程に真の面白さを味わえるように訳されている。改めて読んでみると、一度では見えてこなかった裏の動きがたしかにはっきり書かれており、最初は読み飛ばしてしまい易い流れのよい文脈となっている。翻訳ものとは思えない臨場感と読み込み感の高い作品でした。(やはり往年の名作の一つです。
(忘れたころにまた再読してみよ・・

アクロイド殺人事件 (新潮文庫)

アクロイド殺人事件 (新潮文庫)

(古典的発売日