僕もインドへ行ってみた

「インドなんか二度と行くか!ボケ!!・・でもまた行きたいかも」の文庫版を見かけたので購入した。「地球の歩き方・インド編」でも紹介されている〈インド本〉の定番の一つだが、インドを旅すると面白おかしく書きたくなってしまうというのは共通のようだ。ボキャの多さと軽快な叙述は素直に感心した。

 例えば・・・、
ゴー、ガタン、ガタン、 ゴトン、ゴトン、 ガタン、ガタン、 ゴトン、ゴトン、
内耳を刺激するような機械的に続く連続音。でもなぜか眠気を誘うやさしい響き。
ヒンドゥーエルサレム、ベナレス(バラナシ)へ向う列車が路面の継ぎ目を拾う音だ。
外を見ればその連続音さえ忘れてしまう刺激的に広い視界が流れている。
遥か地平線まで続くデザートイエローの世界。アフリカのサバンナなど見たことはないが、そんな思いにさせる。
朝焼けに染まる腰の抜けたような木々、崩れかけたレンガむき出しの家々、水の入った空き缶を手に座り込む人々。・・・
「うぉー!インドだー」
またこの明け透けさがいい。乗降口は開いたまま、ステップを一段降りて握りバーをつかみ、身体を半分以上外へさらし、無限に続くような薄汚れた車輌の外観を眺めながら風を受ける感じはなんともローカル。今の日本では絶対味わえない戦後の復員列車ってとこだろうか。
前夜にデリーを出てひたすら東へ向っている。窮屈なベッドに重い毛布をかけ、不必要なエアコンに悩まされ、ようやくたどり着いた朝だ。
日の出とともに視界が拓け、待ち焦がれたインドがそろそろと見えてきた。・・・
(こんな書き出しで今年2月に出かけたインドを、日記に添えてみることにする。