屋根のある日本の住まい

雨が降ると屋根がほしくなる。(屋根のない家ばかりデザインしてきて身勝手であるが・・、)
日本の建物は屋根で出来ているといってよい。神社仏閣をみればさらによく分かる。五重塔など「一階建て」なのに、屋根屋根屋根屋根屋根。日本人は太古より棲家=屋根であったようだ。屋根がシェルターの役目をし、高いところに神を祀り、屋根の各部にはさまざまな信仰を宿してきた。
水を呼ぶ呪術、魔除けの効能をめざした鯱(しゃち)、鵄尾(しび)、鬼瓦、烏衾(からすふすま)、烏飛(からすとび)、雀おどりなどが例である。烏飛というのは、屋根の棟のところにやぐらを立て、水桶と火たたきを添えたいわゆる防火用水である。もちろん実用ではなく呪術的意味合いが大きい。雀おどりというのは民家などの棟の端に設けた屋根飾りである。そこに雀がとまって踊るというのが直訳であるが、その語源を「おどる」すなわち「居る(おどる)」ととらえると、神がましますことを表現したと思われる。屋根にとまる鳥類に神性をみているのである。「雀居(すずめおどり)」と書くと「鳥居」が連想されるが、鳥居の機能は建物のシンボルとしての「棟」を立て、神の使いとしての「鳥に居て」もらうためのものと解釈できる。先の屋根飾りも鳥にちなんだ言葉が多い。屋根を鳥を結びつけることは、昔の人にとってはごく自然な発想であったであろうし、そこから造形が生まれてきて、屋根のあの豊かにして強靭なつばさの形をなしたのであろうか。
雨が降ると妙に屋根のありがたさを感じるのです。・・・水曜日はなぜか雨が多い・・・
(余談:今日は十一月十一日(圭)潔い日だね。