金曜日のモスク

ジャマー・マスジット

インド最大のモスクは、ラール・キラーから500m程のところに、やはりシャー・ジャハーン帝が建立したジャマー・マスジットである。その大きさに加えて9mの丘に建っているので、三方の門の手前には「大階段」があり、その勇姿がどこからでも目にすることが出来る。2本のミナレットの高さは39mに及ぶ。中央に泉水を持つ中庭は約100m角で、周囲をアーケードが囲んでいる。庭の西側(メッカ)にある礼拝堂は、白大理石と赤砂岩で力強いファサード(正面)を作り、3つの玉ネギ型ドームを戴いている。この礼拝堂は間口が11スパンもあるのに、奥行きは2スパンしかない。これは信者が横一列に並んで集団礼拝(金曜礼拝)するからであり、幅より奥行きが深いキリスト教会と大きく異なった空間体験をすることになる。通常礼拝堂はアーケードと連続しているのが一般的だが、ここでは礼拝堂が独立している。これはフマユーン廟と同様な「建築の彫刻化」であり、アラブとインドの民族性の違いを示しているようである。
金曜日はお祈りしよう。
(やはり聖域の前は「階段」が似合うのである。次は塔に登らせて下さい。