アフマダーバード

デリーから南西方向に直線距離で約800km、インド綿織物生産の中心地。アフマダーバードとは「アフマドの町」という意味で、グジャラート王国を統治していたアフマド・シャーが1413年、グジャラート北部のパターンにあった都をこの場所に移し建国した。町の間を流れるサーバルティー川の西に新市街、東に旧市街が広がっている。旧市街にはモスクが多く建ち並び、イスラーム色の濃い街並みである。(専門家から見るとジャイナ教とのミックス様式らしいのだが)この町への目的はもちろんモスクではない。「階段」である。(・・・、)すばらしく完成度の高い「階段井戸」が二つあるのだ。「ダーダー・ハリの階段井戸」と、少し足を延ばすが「アダーラジ村のそれ」である。
このグジャラート州やその上のラージャスターン州は、インドでも降雨量の少ないエリアで、古くより水を確保する施設が造られてきた。階段池(ステップドシスタン)や、階段井戸(ステップウェル)と呼ばれる構造物で、管轄する寺院や宗教施設の併設で、時代とともに礼拝的措置が施され、彫刻的な建築物となっていった。これらは「井戸」という作業空間ではなく、「神殿」のような聖域的空間構成になっているものも少なくない。「建築鑑賞」に十二分に値する物件です。
それでは階段を下りてみましょう。