名護市庁舎

奇建築巡り
こちらは最初から「廃墟」である。外観というより「躯体のみ」といった退廃的な構造体芸術である。黒ずんだコンクリートに紅白のブロックを積んでいる。廃墟と化しているのはその屋根の姿によるところが大きい。コンクリートの大型の垂木の間に、紅いコンクリートの石板を間をあけて斜めに差し込んでいる。これが陽に逆光して黒くなり、穴だらけの屋根(パーゴラ)となっているからである。この防水機能をなくしたガラクタのようなモザイク建築は、偶像などを取り払った(シーサーはいるが)イスラームの施設のようでもあり、南国の強い陽射しの中、影絵となって存在感を落としている。
赤い瓦、花ブロック、アサギテラス、ブーゲンビリアと沖縄的なアイテムが揃っているが、以上が姿ではなく要素として使われているところにデザインの奥義がある。
このコンクリートのラーメン(柱と梁の構造)がつくりだす山脈的なボリュームは、巨大な毛菌類のごとく這い、砂漠に潤いを持たせるオアシスとなっている。これはコルビュジェのインドワークのようでもある。(米軍地としての先入観が、防衛施設にもカムフラージュさせている。
普天間解散まで残り一ヶ月なのか・・・、