奇建築巡り

オムロン御殿場リゾートセンター
国道138号箱根へ通じる乙女峠への中腹、箱根スカイラインへの分岐点の手前にそれは、ある意味「廃墟」のように存在する。型枠芸術とも云える意匠コンクリートのピラミッドとでも表現するのか、段状に積み上げられた「建築」が宗教的な香りすら放っている。見た目での建物用途は、ハイテク装備の生物科学研究所、または中央情報局などの諜報機関、または外務省直属のセキュリティーセンター、あの「ブラッディ・マンデー」の「サード・アイ」を外から見たような、いわゆる要塞テイストな建築である。
鉄もコンクリートも「ただ」では使わないという徹底的な表現主義が、建築を彫刻化していて、コンクリートが造りだす幾何学的ボリュームが「フライング・バットレス(飛び梁)」となり、「斜面」という全体イメージを完成させてしまっている。鉄はあらゆるところで表情的なリブが飛び交い、ロボットのように機械化され、トゲトゲしい防御体制が敷かれているのである。
富士を望む西北西のライン上に、エントランスのある楕円形平面のコアがあり、これが「顔」となっている。黒いメタルに覆われたメカニカルなエクステリアは、非日常の生活体験をする本来の用途を、遠まわしに具現しているのか。(芸術というより、バブリーな遺産である。
(じつはここはストックホルムで、白衣を着た御手洗が出てきそうな・・・、