同居世帯住宅

二世帯住宅と呼ばれるものにはいろいろあって、親世帯と子世帯との間をどこまで分離させるかによって、その違いが決まってくる。最も分離させるタイプは、玄関からすべて別個にするものだが、このタイプだとどうしても無駄なスペースが生じるのを覚悟しなければならない。すべて別仕立てにするにしても、内部で行き来ができるつくりにしておけば、お互いの使い方によって無駄なスペースを有効利用することは不可能ではないが。
最も無駄を少なくしようとするならば、寝室のみを別にして、あとの居間から食堂、キッチン、浴室、トイレまで全てを親世帯と子世帯で共用するのが一番である。ところがこれは二世帯住宅とは云い難い。(というか云えない)そもそも二世帯住宅にするのは、親世帯と子世帯の間の生活リズムや生活様式の不一致にあるから、「別々に生活できるようにしましょう」というところにあるからである。つまり食事の内容から時間、入浴や就寝時間など、年寄りと若者とでは合わないから、「台所と食堂は別にしましょう」となってくる。この不一致は親子の間の「テリトリー争い」とも云える。最も顕著なのがキッチンであろうか、キッチンは食事の支度をする者、多くは主婦の持ち場「テリトリー」である。調味料や調理器具をどこに仕舞うかは流儀がある。だから他人が台所を使ってそれらの位置が変わると使い難くなる。これらが紛争の種になりかねない。
以上から、親が隠居するなど家事の実権がはっきり分担されていない限り、「寝室以外は共用タイプ」というのは問題が起きやすいと云える。これは「二世帯住宅」ではなく、「同居」である。
(宮廷のような長い食堂テーブルで大家族全員同時刻に食事をする。これも悪くない。