貸借景

家を建てる場合、まず敷地に立ってどんな景色が広がっているか観察しましょう。(全く見たくない方の対処はここでは割愛しますが)遠景や緑ばかりではなく、隣りの建物の位置や「窓」の位置、もちろんお隣さんに緑溢れる庭などがあれば、これを借りない手はありませんが、目に見えるものばかりではなく、「風」も調べましょう。その地には必ず「卓越風(ある期間を通じて頻繁に吹く風向特性のある風)」があり、これを利用すれば自然換気や、冷房などに効果的に作用するからです。
・・・借景ですが、隣りの緑を見るばかりではなく、不要物を「どう隠すか」も重要です。隠すことにより全く別のものに見えてくる場合があるからです。
建物は土地に定着するものなので「それ(家)」だけでは成り立ちません。必ず「環境」が付いて回ります。隣りの景色を借りることは、こちらの「壁」を貸すことにもなります。
緑のあるところでは、「それのみ」見えるように窓をきります。すると隣りの家が消え、緑が広がっているように錯覚します。これは隣りのためにもなります。隣りの庭はお隣さんのものですので、見ている人まで眺めてしまうのは失礼にあたります。袖口やB席程度から見るのがよいと思います。(チラリズムですね。
住まいは「外から眺めるものではありません(中の空間を利用するものです)」が、「環境に置かれるもの」である以上、外観は道行く人や、帰宅する住まい手に和みや、満足を与えるものでありたいものです。(エクステリアは住宅設計の大切な業務といえます。
枯山水の15個の石が必ず一つは隠れてしまうというのも「不完全さの構築」なのでしょうか。