崖の上のドゥオモ

イタリアン・ゴシックつづきでもう一つ。
山岳都市オルヴィエートにも、街の中心部に堂々とした大聖堂が建っています。着工されたのはミラノ大聖堂より早い13世紀末で、当時はロマネスク期にあたるが、造っているうちに時代がゴシックに変ってしまったものである。そのためか、取って付けたような「これぞゴシック」という絵に描いたようなファサードが、「看板建築」みたいに付いていて、この荘厳たるファサードは、まぶしい黄金色を背景にしたモザイクや、縄のようなネジリ棒状の付け柱の浮き彫りなどで埋めつくされ、ゴシックの巨大な祭壇画となっている。上部には、細かいレース模様を思わせる大きなバラ窓と、聖人彫刻の並ぶ様は、一つの芸術作品と云える。(17世紀初頭に完成)
3廊下式(身廊の両側に側廊がつくプラン)の本体部分は、白と黒の石が交互に積まれたストライプの美しい姿で、ゴシックにはない素朴なローマンデザインとなっている。
シリカ式(初期キリスト様式)の内部も、袖の短いロマネスクの雰囲気と、垂直に伸びる柱と半円アーチはゴシックそのもので、白と黒のデザインとともに、ここにも「様式のストライプ」が表れている。(ルカ・シニョレッリのフレスコ画がすばらしい)
オルヴィエートは、ローマとフィレンツェの中間程に位置していて、どちらからも鉄道で1〜2時間で行くことができ、駅からはケーブルカーも出ており、山の上のオルヴィエートの街までは簡単にたどり着くことができる。ここは一つの要塞で、ふもとの町からは断崖で切り離され、砲台グリーンのような都市である。ケーブルカーを降り、緩やかな坂を上って行くと、各種の宮(現博物館)に囲まれた広場に「それ」は建っている。
(この街のもう一つの名所に「サン・パトリツィオの井戸」がある。(2009/9/26付記事参照