日本の住まい

日本の伝統的な住まいが、欧米や他の地域の住居の内部空間と違っているかについては、今さら繰り返すまでもないが、改めて挙げれば、「日本の家屋は開放的である」という点である。石やレンガや土を積んでつくった壁で囲まれた家ではなしに、木などの植物からつくった材料で柱や梁の骨組みで建てる日本の家には、「壁らしい壁」がほとんどなく、ところどころに立てられた襖や障子や板戸を取り払ったりすると、屋根の下の空間が全部一続きになってしまう。(神の如く姿の見えないものが出入りする意識からか、壁という遮蔽要素を好まなかったのか・・・。
この日本家屋の開放性は内側だけでなく、外に向かっても発揮されている。いわば日本建築の内と外の一体化した空間効果は、まさに「壁のない家」だからこそ実現できたものである。
しかし、こうした自然と融合した利点は、西洋文化の移入とともに、居住者に「欠点」として見られるようになった。「プライヴァシー」の問題である。居住者の「個」が確立され、家族本位のプランが取り入れられ、部屋と部屋、庭と室内は切り離されることになった。同時に洋家具の導入で、坐式生活から椅子式になり、それに伴い視野も高くなり、さらに庭が遠くなった訳である。(元より庭などない家が増えたが・・・、
しかしこれも昔話。昨今は「温暖化」とともに、開放的なつくりがもてはやされている。全開口サッシの利用や、ワンルーム的なプランの攻勢が、使い手を持て余す程のデザインとして一人歩きしている。「家族本位」がさらに進化したため、逆に「個」の境が薄れ始めてきているようである。また、社会情勢が「寝るだけの家」から本来の「家庭」へと辿りつかせたのだろうか。「家」は「庭」あってこそである。(やはり日本は田舎なんですね。
(エクステリア工事をされる方が増えましたが、「本末転倒」も多々見受けられるような、、