ロフト

「ロフト」というと今では中二階や、屋根裏部屋のような空間や、その「室名」を指すことが多いが、本来は「ロフト・リビング」といって、元々工場や作業場、倉庫といった居住用でない、「工業使用を目的に建設された建物を居住スペースとして利用する行為」を意味した言葉で、反社会的行為の一つとして始まった現象から来ている。
しかし、昨今の再利用推進(もったいない)時代、この現象は「リノベーション」やら「コンヴァージョン」やら「リメイク」などとやたらと横文字の名称を使い、新築物件の少なくなった環境の中、唯一建築家やインテリアデザイナーの独壇場的業務となっている。
このロフト・リビングは、1950年代のニューヨークで貧しいアーティストたちが、工業用ビルに寝泊りしたところに端を発している。彼らにとってこうした空間の最大の魅力は、それが低価格で借りられたこと、そして創作と生活の両方が出来るだけの広さがあったことである。このほとんど住まいとしての機能を備えていない、空き家のような空間が本来の「ロフト」の始まりである。
デザインの世界でも、欧米では1970年代からこの「再利用及び用途変更デザイン」は、既に確立した分野として存在しており、環境問題を騒ぎだしてからの流行りの日本とは、やはり歴史的文化の差がありそうである。
しかし、この元々アンダーグラウンドな行為も、「時代」とは抜きにインテリアの世界で功を奏しているように思う。「用途変更」という本来の使い方以外の利用が、「モノ」にしても「空間」にしてもデザイナーの心をくすぐるとことである。
(そろそろ「住宅」に住むのはやめませんか・・・。(また始まってしまった・・・、