冬を旨とすべし?

「家のつくりは夏を旨とすべし」と吉田兼好徒然草のなかで述べているが、古より日本の住まいは夏向きの開放的なつくりとしてきた。
しかし最近はどうだろうか。高気密・高断熱という(決して開放的とは云えない)暑さ寒さには強そうな家になってはいるが、「冬の寒いのはイヤだ」という声をよく聞く。温暖化で昔より暖かくなっているはずなのにだ。
以前は・・『冬は厚着をするなり火を焚くなりすれば寒さをしのげるけれど、夏は裸になっても氷を吊るしても涼しくならない。だから夏を旨とするんだね』と云っていた。・・でも今は『夏は薄着をするくらいで働けるけど、冬は厚着をすれば身体が固くなり、火を焚けば眠くなる。寒いというだけで動きたくない。もう寒いのはイヤ!』とそれ程にまで寒さを嫌う人が増えている。(何のために地球は温暖化してくれたのだ・・)エアコンなど温熱環境の優れた無菌室に育った現代人は、体温調節機能が衰えているのでは?これでは「冬を旨とすべし」である。(兼好もびっくり・・
時代と共に機能優れた住まいに進化してきたが、それにより人の機能が退化してしまったことは否めない。
環境共生の響きの中エコ建築が必須とはいえ、進化にも贅沢にも人の欲望には終わりがない。快適と引き換えに快適さを享受できない身体になってゆくのなら、次世代やらCASBEEとは何なのか・・。
(・・僕も夏が好き。(・・。)