花の下にて春死なむ

久しぶりのミステリ。10年程前に推理作家協会賞を取った作品でした・・。舞台設定に惹かれる作品で、新玉川線三軒茶屋駅近くの商店街のはずれにあるビアバー「香菜里屋」のマスターが探偵役になっています。同収録されている他の短編も全てこの店が登場し、ロッキングチェアディテクティッブの如く、バーカウンターの中でこのホームズが冴えた推理を展開する訳です。飲みにくる客の不思議な話しから物語りへと進むつくりや、話し手が実は事件に絡んでいる点など、二銭銅貨押絵と旅する男など、江戸川乱歩初期の短編(傑作)を彷彿させるような二階堂的(ノスタルジックさ)風味を感じさせます。(???・・
常に4種類の度数の異なるビールを備え、これまた常に「いいもの」が入ったとやらで絶品の創作料理を提供するこの店は、年齢不詳の男一人が演じているところから、老若男女問わず都会の疲れを癒すオアシスとなっています。(こんなビアバーで飲みたい!)血なまぐさい事件にならずとも、巷では日々不思議な事件が起きているようです。
(今宵も水曜の怪です・・

花の下にて春死なむ

花の下にて春死なむ