たしかに悪意だ・・

これ久しぶりに当りです。新しい作品ではありませんが(初版は96年の作品)、東野文学の最高峰に値します。東野氏のミステリは過去の世界に原因がある作品が多いが、それも小学校、中学校時代まで遡る。少年時代の激しい感受性により植えつけられた意識が、時間で薄れることなく蓄積され、復讐的に現れてくるのがこれらのスタイル。
「悪意」はこのスタイルを背景として、各自(容疑者と探偵役の刑事)の手記と記録が交互に章として題された、「叙述トリック」と「作中作ミステリ」のダブルのミステリです。これを云ってしまってはルール違反ですが、殺人を犯すために動機をつくるという前代未聞のトリックです。(未読の方すみません)
読みだ出したら止まらない久しぶりの一品でした。
(ネタばらしは悪意ではありません。

悪意 (講談社ノベルス)

悪意 (講談社ノベルス)

(やっぱりノベルス版がほしい・・