温存プランは役に立たない

この仕事も長くなると、実現に至らない計画プラン(個人的に建てたい家のプラン)も蓄積されてくる。いつかそのプランにあった土地や建て主が現れることを願い、保存しているのだが、設計者自身の好みも時間とともに変化してゆくことと、土地の形状や建て主の好みなどにより、現実の条件に合致することはほとんどない。それでも「こんな家を建てたい」(建物探訪?)という案が生まれたときは、カタチに残しておくことにしている。
小規模な土地における住宅の場合、接道の位置(道路の付く方位)によってもプランが大きく左右される。また東西に長いか、南北に長いかにも当然影響される。本来建築のプランとは土地が指定されないと、計画は出来ないものである。一方、変形地や傾斜地、旗竿地などのいわゆる悪条件地は、土地の状態からくるインスピレーションがデザインを起すことになり、温存(未然)プランなど全く必要とせず、それはそれで設計の醍醐味といえる訳です。逆に分譲地のように矩形(四角)で平坦な土地など無条件に近い場合、まずは建て主の条件と建設規模に合うプランを一度は温存リストから検索します。しかし、解になるようなプランは意外やヒットせずです。「データベースは答えを出さない」訳です。(どこかで聞いたような台詞ですが・・
分譲地でも周囲の環境は大きく作用するので、プランニングの際は必ず現地(土地)を見ないことには始まりません。何れも建築のプランとは一点ものであり、与えられた条件によりデザインするものと云えますね。
(最初のプランニングこそ設計の醍醐味です。