耐災強度とコスト

一般に建物の台風や地震などの災害に対する強度(耐災強度=造語)の順はコンクリート造>鉄骨造>木造と考えがちですが、地震を例にとると、建物の構造種別だけでは強弱の判断は出来ません。建つ地盤に左右されるからです。建物は地球の上に建っていますので、地盤の仕様によって上物にかかる地震力は異なってきます。軟弱地盤に重いコンクリート造を建てることは、建物が強くても意味をなさないことは想像に難くないと思います。もちろんお金をかけて十二分に地盤を強化すれば不可能ではありませんが、必要以上のコストがかかります。逆に耐風対策では重い建物のほうが安全側となります。木造でも壁の仕様や耐力壁の増設、床面の強化などにより耐震強度はいくらでも増すことが出来ます。(開口部は減りますが)鉄骨造(重量)は大空間など、スパン(梁間)を飛ばすことが出来ますので、柱間も広くとるのが経済的で一般的です。そのため揺れを割り増しで感じます。また柱を緊結するために地中梁などの地下工事があるため、同じ規模なら木造よりコストはかかります。したがってコストを抑えることを重視するならやはり木造ということになります。木造なら地盤が悪くても一般的な地盤改良で耐震強度を確保することが出来ます。コストとのバランスを考慮すれば、鉄骨造やコンクリート造の選択は地耐力があることが原則です。見た目の堅牢さはコンクリート造には敵いませんが、木造でもコンクリート造に見えるつくりはデザイン上可能ですし、プランなどの自由さも木造が有利ではあります。
(家づくり研究所