トンネルハウスというものがある

その名の通り見た目は「トンネル」である。小高い山の斜面に短いトンネルの入口があり、向こう側に出口が見える。どうやらここがこのハウスの入口であり、駐車場であるようだ。
トンネル内に車を止める。壁面中央には横長のスリット(開口部)がある。(これが明り採りのようだ)中を覗くと「?!」下には住まいの外部分というか青空エントランスになっているのだ。ようは地下建築物におけるドライエリアと呼ばれる部分だ。スリット横にはトンネル内のコンクリートと同色のドアが一つある。入ってみる。というかドアを抜けると外なのである。ドライエリアへ降りる階段踊り場なのだ。降りた地下部分が住まいとなっていた。外から見るとトンネルでそのまま通り抜けることが出来る。トンネルハウスとは言ったものである。・・・

インド日記つづき

19時50分、ニューデリー駅。
駅前に降り立つ。凄まじい人、人、人。駅周辺が明るくないのが要因だが、チケット購入に並んでいるのであろう黒山の人間だ。駅前から何列にも及ぶ人の波。人で駅前広場が埋め尽くされている。ガイドに付いて駅構内へ入りプラットホームへ出る。もやもや蠢いている。人だ。ここにも夥しい数の人間がいる。ここに居る人が列車に乗る人?乗れるわけがない。駅を宿代わりにしている人たちでしょ・・・、
暗い車輌が停まっている。何やら小便臭い。やはり何人もの男が線路へ向けて立ち小便をしている。この列車は何?回送列車?照明が落とされ中は真っ暗だ。まるで暗黒から来た幽霊列車のようである。人が乗る雰囲気ではない。倉庫のような輸送用の車輌にみえるが、窓には横棒がはまり脱獄防止のようにもみえる。じつはこれがインドの寝台列車である。遥か先まで客車が続き先頭が見えない。(いったい何両あるのか?)
「うっひょ〜迫力満点!」線路も1.7m程の超幅広ゲージである。何の前触れもなく動きだした。やはり回送列車らしいが出て行くにつれ先頭の機関車が姿を現した。「ぶっき〜(不気味)」お化け巨大機関車だ。黄泉の国から来たようなまるで生き物みたい。何でこんなに暗いお姿なの?
今日のこの「駅」インドへ来て「一番」です。インドの凄さをまざまざと魅せつけられた第一弾です。(鉄道移動にしてよかった)この雰囲気は見なければ分かりません。(昼間見たらこれ程でもなかった)
暗いホームを観察していると、全身にチェーンを巻き付けカバン錠をいくつも下げたどうやら物売りの男です。(日本なら浮浪者だな)
列車の中でバッグ等の盗難防止にチェーンロック(列車内の柵などに結び付ける)すると良いことは知っていたが、それを売り歩く男がいるとは、うまいね〜ちゃんと商売するやつがいる。僕はワイヤー錠を用意していたがガイドが購入した。
プラットホームに造られた水飲み場で頭を洗ったり、歯を磨いているやつもいる。この水はガンガー直結なんだろうな〜日本人が飲めば一発だな。(・・・、)

20時20分、僕らが乗る車輌が入線してきた。ホームの人だかりが一斉に列車の方向へ走る。「えっなんで走るの?」切符は指定席券じゃないの?なぜか多くの人が前の車輌の方へ移動する。予定乗車口が違っていたからなの?釣られて僕らも移動する。よう分からん。でも何となく分かるこれだけ人がいると乗車口付近にいないと列車が発車するまでに乗り込めないのではないか?僕らはガイドに連れられ人の列を割き、なぜかお先にすみませんという雰囲気で乗り込む。(・・ほっ)
通路の扉がせまい。車体は大きいが中通路も事の他せまい。じつに避難が災難な施設です。窓にも格子があり笑い話ではありません。なにせ独房のような車輌ですからね。窓の格子は外部からの無銭乗車を防ぐためらしいです。(なるほど・・・、)
とりあえず指定席に落ち着く。すぐにスーツケースをシート下に置かないと居場所がない。二段ベッドが並列に向き合った形だ。通路を挟んで車輌と平行にもう一つベッドがある。ベッドサイズは1.8m×66cmだった。とすると通路とベッド幅をたすと車輌の幅は3m程になるのか、でかい!
お向かいの先客はインド人の若夫婦だった。「ナマステー!」
奥さんの提案で僕らは上の段に寝ることになった。何も知らずに了承するが後になって相方はとんでもなく苦しむことになる。ガイドがいる席はせまいとの事で荷物を預かることになったが先程購入したチェーンロックをし、鍵は相方に渡したらしい。ガタガタしているうちに知らず動き出していた。全員乗れたかな?他人のことは良いが・・、ここはインドですので・・、(20時40分発車)
夕食は済ませてあるのでベッドメイキングに入ります。シーツは二枚、毛布(やけに重い)、枕が用意されています。横になってみた。枕元にバッグを置き頭をずらすので足がやや出る感じ。座しても頭は支えないので天井の高さは十分。ただ中央の天井に扇風機や照明器具があり、登り降りする際頭をぶつけそうになる。特にベッドへ上がるハシゴ類もなし、ま〜お年寄りが乗るものでもないな。(お年寄りも乗ってます。だいたい下の段を利用するようですが)
上の段は窓もなく暇なので休む前に車内の視察をしてみます。トイレを見に行きます。「汽車便」和式と洋式が通路挟んで並び、ここも滞りなく「インド式」である。床近くに蛇口があり、プラスチックの手桶が置いてある。水たまりもあり、紙はない。(・・・、)
走行中は便器内から冷たい風がピューと吹き上げています。頭上にはミニ扇風機が強風でブォーン、(強弱の切り替えやスイッチはない・・・、)とても用を足せる所ではないようだ。
(二度目に見た時は黄汁が飛び散りさらに利用したくない状況だった・・・、)
座席部分は通路との間にはカーテンがあるが、向かい合ったベッドそれぞれには仕切りがないので女性には少々落ち着かないか?グループや家族など4人組みで利用することを暗黙に強要する造りです。
枕元灯を点け日記を付ける。(この原稿のメモを揺れの中でみみず文字で記入)
ようやくインド初日が終わろうとしています。

ゴー、ガタン、ガタン、ゴトン、ゴトン、 ガタン、ガタン、ゴトン、ゴトン、・・、・・、眠りを誘う響きです。Zzz Zzz ・・・