サン・パトリツィオの井戸

フィレンツェからローマ方面へICで1時間40分、中世の要塞都市オルヴィエートへ着く。ケーブルカーで上がり、街への入口は断崖の上にある。ケーブルカー駅の右側、緩やかに下る道の先にバウムクーヘンのような円筒の建物がポツンと見えてくる。16世紀に造られた「サン・パトリツィオの井戸」である。ローマ略奪を逃れてきた教皇クレメンス7世が水源確保のため、A・ダ・サンガッロ・イル・ジョーバネに命じ工事が始められた。直径13.4m、深さ62m、井戸筒の周囲には上下に重なった二つの螺旋階段が付けられ、底まで下りられるようになっている。幅2m程の踏み面の広いゆるやかな階段で、明かり採りとして井戸筒に面した壁にアーチ型の開口が72ヶ所設けられている。入口からは時計廻りに下りてゆく。ぐるぐるぐるぐると底までつくと貯水槽の上に渡り橋があり、渡りきると昇りの階段の入口となる。今度は反時計廻りに上ってゆくという構造だ。内側の壁には明かり採り窓があるので、顔を出せば上の天井も、下の水面も、もちろん向いの窓の中の階段を歩いている人の姿も見える。井戸筒の直径は7m弱なので正面で顔を出している人と向き合ってしまうこともある。「ボン・ジョールノ!」面白いのは正面の同じ高さに見える窓は常に反対側の階段の窓になっているということだ。いくら正面近くに見えても、例えばそこにいる人に追いつこうとしたら、一旦底まで下りて反対側の階段を上がってこないと会うことが出来ないのだ。(二重螺旋階段の興味深いところである)
この造りの意図は、水汲みのためで、ラバに水瓶を背負わせて底まで連れて行き、向きを変えずに出口へ進むためのもので、その動きがスムーズに行くように一方通行としたものである。(なるほど)
断崖の地下に造られたこの階段は建築というより彫刻に近い。底から見上げるとまさに深い穴蔵に入ったようで未知の世界を体感できる。
オルヴィエートは横縞の美しいドゥオーモ(大聖堂)や中世の街並みがあり、観光としても十分楽しめる都市となっている。
(ランチはトラットリア・メッザルーナの「カルボナーラ」オススメです!(卵黄のみの本物)

インド日記つづき

 2月20日アーバーネリーへ
6時00分起床、7時30分朝食、すでに一人日本人風な男が先客です。(英字新聞を読んでいる)
バイキング鍋(っていうのか?)が空のところをみるとバフェテリア形式ではなさそうです。なぜか昨日と同じ席に陣取ります。一度座ると人間はすぐに落ち着く場所を決めてしまうようです。
マンゴージュース(これも定番です)が出てきました。朝食なのにテーブルサービスらしいです。トーストにオムレツ(今回はクレープに近い薄い焼き玉子でした)のみの超インディアンスタイル。
静かな朝です。他に客は入ってきません。ステンドグラス風のうす汚れた小窓から朝日が入ってきました。毎日良い天気です。多少埃っぽいですが旅行者には乾季は助かります。
出発まで時間があるのでホテル周辺をぶらついてみました。インドの朝はゆっくりなのか街にまだ動きがありません。それでも歩き出すと早起きのリクシャーワーラーが声をかけてきます。「マナステー、ノーサンキュウーよ」手を振ります。通りへ出てみます。ほとんど閉店状態です。角の洋品店だけが時間に似合わず店を開けています。吊り下がる衣装を眺めても店のお兄さんはまだ仕事時間ではないのか声を掛ける様子もありません。(ちょっと意外)インドの普段着、クルターやパージャマーなども下がっていますが、こちらも時間的に購買欲のテンションが低いです。(いらね)
い〜匂いがします。サモーサーでしょうか、制服業務らしい男が屋台で朝食をとっています。通勤バスやサイクルリクシャーが走り出していますが、まだまだ静かな街並みです。観光客的なものは特にありません。引き返す途中で男に声を掛けられました。
「ユアカントゥリー?」
「ジャパン」
「日本人は友達だ」(またかよ!ほんとにこいつら友達が多いらしい・・・うそに決まってる)
「お兄さん、かっこいいよ。マイケルジャクソンだ!」(・・・、)
「タンキュー」
「名前は?」
「京介」
「キョースケか」
「俺はニコラス・ケイジだ」(は?・・・、)
「これからどこ行く?」
「アーバーネリー」
「俺にまかせろ」(ほ〜らきた。どうせどこかの高い旅行社へ連れていくつもりだろ!)
「ノーサンキューだ」
「リザーベイション、タクスィー」(ツアーなので足は足りてると英語で言えないので)
「タクシーは高いぞ」
「バイバイね〜」手を振って分かれた。インド人は親切な人が多いようです。
ホテル前にはタクシーやツアーバスが集まって来ていました。観光地らしい様相が出てきます。
玄関前でドアマンのおじさんと写真を撮りました。このベルボーイ、威厳のある立派な髭を生やしたマハーラージャのような男です。(カーキ色の服が軍人のようでしぶかっこいい!)
ここから先は大阪女性陣とは別行程となりお別れしました。「お気をつけて!」・・・