インド音楽

インドの街中へ行くとユーロビート系のダンスミュージックが中心である。デジタルな超早口のスィンセサウンドが妙にテンションを上げてくれる。ほとんどが映画のサントラからの出典であり、意味の理解など全く不能だがノリノリにしてくれる。映画の内容もただ楽しければいいというだけに曲も同じであるようだ。・・・・まったくと言ってインディアンにはまってしまったようだ。
(♪♪♪♪!

インド日記つづき

10時55分、とうとう来てしまいました。アーバーネリーの階段池「チャンド・バオーリ」です。看板も立っています。施設の用途から規模、サイズなどが書かれています。予期せぬ遭遇でした。
入口は味気ないアルミのドアですが、内部は遺跡感十分のギリシャ風な列柱空間が出迎えです。塀に囲まれ神聖さが創り出された世界です。露出オーバーした正面には対岸が光っています。「階段池」です。光の世界へ進みます。「圧巻です」光と影により造り出された無数の凸凹が底へ向って流れています。階段ばかりで出来たスタジアムです。
エキスパンドメタルを思わすひし形の連続する空間、まさに迷宮です。エッシャーの天地階段を具現化したような階段地獄がそこにありました。階段の層が13段あり、地上から底まで約20mあるそうです。
底の池には溜まった水が明るい緑色に染まり、ウィンブルドンセンターコートみたいです。しかしこの無数の階段はなんなのでしょうか?水位の変化に対応するにしても各層に一つか二つあれば良いと思いますが、やはりスタジアムといった客席としての使い方も併用されているような気もします。昔この施設に住む王が夏場の水位の高いときはプールとして使用していたそうですので、下段のアーチの足元には飛び込み台らしきステップが見えます。観客席案もまんざらではなさそうです。
東面、南面、西面が階段壁、北面が神殿風な造りの住居部分となっています。何層にも造られた横穴式住居的な構造です。全て角型の石を積み上げた(積み下げた?)積石造です。階段は標準サイズと四分の一サイズを組み合わせたものと、扁平な石をずらして敷いたものなど各所まちまちな造りですが、階段としての寸法は全て同等なサイズとなっています。幅は66〜67cm、踏み面24〜25cm、蹴上げ21〜22cmの非常階段的です。・・・・・・内部に身をおいた感覚は言葉では表現できません。感無量です。この旅でようやく階段登山が出来ました。施設のガイドに50ルピー渡しました。ガイドをお願いした訳ではありませんが、施設の管理費として了解しました。メインターゲット観破です。
写真で見た世界、夢にまでみた階段建築、あっけなく辿りついてしまいました。ここ数年、階段を求めて奇行な行脚を続けてきましたが、純粋階段という点では魅力的にデザインされた建築ではないでしょうか。(ここで言う純粋階段とは上下へ移動する手段ではなく、純粋に昇降運動のみを強要する階段のことである。赤瀬川原平他著・路上観察学入門より)
余計な無駄口はこのぐらいにして施設の囲いを出ると、先ほどより目を付けられていたガキども、いえお子様連中に囲まれた。どうやらこの辺りもたまには観光客が来るようで、外国人とみるや金をせびることや持ち物をねだることを身につけているらしい。少年が「10ルピー」と手を出す。
「何のことや」すると
憧れの眼差しで女の子が腕に着けているブレスレットを指差す。
「これ〜・・・、」これはアーグラで買ったばかりのものであげられないな〜。そこで!元々子供にあげるために百円ショップで買っておいた(買うなよ)石と皮のブレスレットを取り出す。その途端無数の手につかまれた!
「助けて〜」ゾンビにつかまったみたい。(ファンに囲まれたスターにたいでうれしいでしょ!)
「離せっつ〜の」高く手を上げその女の子に上げた。スクラムから出るように群れから離れ、手にしたものを観察している。ほしかったものではない顔をしていたが、その隙に車に乗り込んだ。俺にもくれと他のやつに詰めよられたが、ごめんなさいね。子供たちにボールペンを何本か用意していたが、ベナレスで全てあげてしまっていた。帰りの際女の子が手を振ってくれていた。(後で思うがみやげの安物のブレスレットなんかあげれば良かった。・・・そんなことで後悔すな!)
帰り道、道路脇の広場でなにかの作業をしている人の集まりが目に入った。ほとんどが女性のようで男は見てるだけ。街では男の仕事を目にするが、田舎での男はグータラが目につく。
インドに限らずアジアの女性は働き者である。乾燥した無色な土の世界の中で色鮮やかなサリー姿が印象的であった。インドでは男は土と同化したような姿だが、女性は目が覚めるようなサリーで一際美しく見える。特に女の子は目に入れても痛くないんじゃないかと思うほどめっちゃかわいい!(あぶな〜い)
男も若いのは羨ましいくらいイケメン揃いだが、人間の森のようなこのゴミだめの中で美男、美女が生きている。・・・不思議な国だ。
太陽が頭上に昇る頃、らくだの通るなんでもありのハイウェイを迷走はつづく。再びジャイプルへ・・・