ピサの斜塔

ピサの斜塔とは、サンタ・マリア司教座聖堂の鐘楼としてイタリア・ロマネスク建築の代表作である。さてこのピサの斜塔であるが、最初から観光の目玉を狙って傾けて造られたわけではない。石工たちも真直ぐに建てたかったのである。しかし、表面の砂層と下の粘土層からなる地盤がそれを許さなかった。建設途中から地盤の沈下で傾いてきたのである。石工たちもなんとか傾きを正そうと上層階を真直ぐに積み重ねていくのだが・・・、二度の中断を挟みつつ、200年もかけてピサの斜塔はバナナ状の微妙なカーブを描きつつ、傾いた状態で完成した。ガリレオアリストテレスの説を反証すべく「落下の実験」を行ったという「伝説」もある塔だ。
こうして完成後も傾きは少しずつ増していき、完成から700年以上経った20世紀末には危機的な状態を迎えたため、近年、鉄鎖で斜塔を引っ張り、塔への立ち入りを禁止しつつ、塔の北側の土壌を30tも除去するなどの地盤改良工事を行った。この工事によりあと300年以上は安泰とのことである。(傾いているのは塔ばかりでなく、施設付属のドーム型の美しい洗礼堂もわずかに傾いているらしい)
実際にこの塔を見ると、「写真になった過去の塔」よりずっと大きく傾いた状態を実感できる。
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