コンクリートの階段

名階段散歩

大阪心斎橋に安藤忠雄の商店建築の秀作「ガレリア・アッカ」がある。この建築何が素晴らしいと云えば、もちろん「階段」である。(好きだね〜)建物の紹介写真でも外観ではなく「階段」が撮られている。その通りに、この「階段を作りたくて」建物を造ったようなデザインなのである。この階段、地上5階分の吹き抜けの中に、2階分だけ存在するのだが、片側はコンクリートの巨大な壁が押し迫るように立ち上がり、そこはまるで、「隣りのビル」の壁とに挟まれたような感覚なのだ。反対側は緩いカーブを描いたコンクリートの壁が、階段の奥(上階)へ進むにつれ、階段を押し縮めるように3箇所の踊り場を設けて、幅を狭めながら昇って行くので、パース(透視)が効いてか、距離をかなり膨張させて「見せて」いるのだ。3階から上は、曲線の壁に這うように何本も階段が取り付き、アトリウム内を飾っている。まさに「階段」で造られた建築である。「現場打ち」コンクリートがつくり出す修道院的な厳粛さと潔癖なまでの素材感が、静粛なジャングルを作り出している・・・。
(この空間、後の表参道ヒルズを予感させているようだ。