出エジプト記

と云っても聖書ではない。アガサ女史の名作「ナイルに死す」のことだが、
いよいよ年末恒例の「リーディングウィーク」に入ってしまったようである。久しぶりに名作に手を出してしまったのは・・教授の影響が大きいが、ミステリの中には、著者の好む作品を作内に挙げている例がよくある。膨大な対象の中から本を選択する場合、この紹介されたものを「利用」するのも手である。もともと好みで読んでいる「作家の好みの作品」なら自分にも好みの「はず」が多いからだ。
エジプト旅行を舞台にしたこの作品も「オリエント急行の殺人」や「そして誰もいなくなった」等と並ぶ女史の代表作の一つで、「好みの読書家が好む作品」として再び手にしてみた。
ナイル河を上るツアーの船内で起こるマーダーケイスを、多数の乗客による複雑な人間模様が交錯するドラマ仕立てで、寄航地のロケーションを交えて進行して行く。女史も「彼らと旅をしているように書き上げた」の言葉通り、「同じ船に乗り合わせた感覚を覚える」作品である。
これは「エジプトに出かけた記録」を読んでいるかのような「デジャヴ」をつくる要素となるのか・・・、
(また旅行記が読みたくなった。