イントロダクション

一歩一歩創造の階段を昇ろう

「階段」は建築物に使われる以前から、天界との架け橋としての「表現」に存在していた。
キリスト教の図像においても階段には非常に多くの暗示が込められていて、天上の雲に昇って行くヤコブの階段や、古代アッシリアの階段状に細くなって行く神殿の形状には、創世記に記されているバベルの塔と同様、天に通ずる道という意味がある。「さあ、我々は町を建て、頂が天に届く塔を建て、名を上げよう」(創世記11章)また中世の教会で見られる祭壇前の3段の階段は、信義、愛、希望を表している。多くの巡礼地に見られる長い階段も、その階段を一歩一歩踏みしめて行くことによって巡礼者が現世の穢れを拭い去り、価値ある到達点に行き着くことが出来るようにという意図が込められている。
高い所と神性を結びつける考えは多くの宗教に共通しており、「昇る」という肉体的行為は神聖なるものへの信義を問う行為となった。仏教寺院の多くは天上への階梯(階段や始まり)という形で建築されている。
(新しい年初め「高い理想」をもって前へ進もう。