天空の階段

アンコールの遺跡群はシェムリアップの周囲10km四方に点在している。だからプノンペンで街巡りをするように徒歩で遺跡群を周ることは出来ない。(バイクタクシーを利用するかツアーに参加する。
シェムリアップから北へ15分程走ると、突如広々とした濠に出くわす。一辺が1.5kmの四角形、幅は皇居の濠の2、3倍はある。濠に沿って西へ進み北へ折れると、やがて石の巨大建築が出現する。濠の対岸に水平に広がる回廊、その回廊の彼方にトウモロコシを天に突き立てたように五基の尖塔がそびえる。(春分秋分は中央尖塔より陽が昇る)
いたるところに蛇が彫刻されているが、アンコール・ワットとは「蛇寺」のことで、守り神「ナーガ(蛇)」が「ナガラ」になり、「ノコール」になり、訛って「アンコール」となったようです。(そんなことはどうでもよいが、
その中央尖塔へ向う「階段」が60度の勾配となっています。踏み面が少なく、階段というよりロッククライミングで、這うように上がります。登ってしまうと「後の祭り」。立っては降りられません。上から見ると絶壁です。(お〜こわ、 階段は四方にそれぞれあるが、過去転落事故があったため、一箇所は手摺りが付いています。皆さんこれを利用するのでいつもここは渋滞しています。(ガイドさんは手摺りなしでスタスタ降りてしまいますが、
このあまりにも人間離れした階段の理由は、ここは神の領域であり、人が登ってはいけないからです。尖塔部の足元にはプールがあり、王族が沐浴をしたと思われます。このような高みに水槽を造ることは高度な技術であり、排水を灌漑に利用するなど、この階段建築は「ピラミッド」としての機能をはたしていたようです。