気の長い神様

以前、サグラダ・ファミリア聖家族教会(バルセロナ・建築中)のところで、「神様はお急ぎにならない」とガウディの言葉をのせたが、工期の長さで群を抜いているのは「ケルン大聖堂」である。ドイツを代表するゴシック教会で、(どう間違えて見てもゴシック〜という凄まじい姿)この建築は1248年に着工されるが、工事の進み方は非常にゆっくりであった。1560年には、資金難から一旦工事が中断され、その後ゴシック様式は時代遅れとなり、ルネサンスバロックといった新様式が建築界で流行するが、時代は流れに流れ、再びゴシック様式が脚光を浴びる(ゴシックリヴァイヴァル)まで中断する。そして1842年、500年以上前の設計図をもとに、工事が再開され、国家プロジェクトとして急速に建設は進み、1880年、ようやく完成している。着工からじつに632年も経って完成した計算になる。その間、工事がストップしていた282年(中断とは思えない長さだが)を差し引いても350年も建設に時間がかかっている。(それゆえ高さは群を抜き、双塔式としては世界一の157m
大聖堂の建設には長い歳月がかかるが、フランスゴシックの代表作、シャルトル大聖堂アミアン大聖堂も正面の双塔のデザインが異なっている。「時差」による様式の変化を表しているものだ。同じゴシックのミラノ大聖堂も400年以上かかっている。(・・・、
「ゴシックの神様」はお急ぎにならないようである。