「うだつ」を上げろ

いつまでもパッとしない、出世しない人(私のようだが)を「うだつが上がらない」と云う。「うだつ」という言葉は古く奈良時代からあり、「うだつが上がらない」という言葉も、江戸時代から一般的に使われていたようである。「うだつ」とは、建物の妻側(屋根の葺き下ろされていない壁側)の壁を屋根面より高く伸ばし、その壁の上に小さな屋根を載せたもので、飾りを含めた、格式高くお金をかけた屋根の納まりであり、この「うだつ壁」を上げられるような力や、地位を持てないことを「うだつが上がらない」と云った。実用的には、隣家からの延焼を防ぐ、防火のための境界壁であり、火除け、火返しとも呼ばれていた。時代とともに防火性はなくなり、装飾物として後の「看板建築」や、「軒を出せない納まり」の原形にもなっていったのではないだろうか。
見栄を張る必要はないが、人も少しは化粧(背伸び)するくらいが良いのであろう。
建築家に必要なのは「ミテクレ(美しさと技術と礼儀)」です。