建築鑑賞

ある物語り・・・、
二人の男がコンサートにやってきた。一人は音楽を勉強したことがあり、音楽に対する知識や鑑賞力を持っていたので、ホール内に轟くオーケストラの響きは彼にとって天国も同然であった。一方、もう一人の男にとって、このコンサートは退屈であった。彼はまともな音楽にほとんど接したことがなく、音楽の知識も全く持ち合わせていなかった。「聴く」ことを学んだこともなく、音楽が心に響くことなど自覚したこともなかった。彼がコンサートの終わるのをただ待ちかねていたのは当然である。
休憩時間になった。この二人の男たちは、コンサートが行われている建物の中を歩きまわって、空間を体感しながら、それぞれ全く違った反応を示したのである。今度は、音楽好きのほうが退屈した。彼は建物のことはまるで無知であり、視覚的に無学文盲といってよかった。一方、先程まで音楽に退屈していた男は、長年にわたって建物を味わう力を養っており、肥えた眼を持っていた。彼は歩きまわりながら、この素晴らしいホールの空間や形態の特質を味わい、この上ない喜びに浸っていた。彼にとって建築はまさに「眼に見える音楽」であったのだ。
建築も舞台芸術や視覚芸術と同じように、五感で楽しむことが出来るという考え方である。音楽鑑賞や美術鑑賞と同様に、「建築鑑賞」も学ぶものである。音楽においては、どのように「聴く」か、美術においては、どのように「観る」かであり、建築の場合には、どのように「知覚」するかを学ぶことである。
建築の楽しみ方なら機会はいくらでもある。自宅であれ、ショッピングセンターであれ、オフィスであれ、人が行くところには、どこにでも建物はある。そして建物があるところには、喜びを見つけることが出来るのです。
さあ〜「眼の毒」を探しに行きましょう。(僕はインドかな、、