アンコール・ワット展

先月まで東京三越で開催されていた「アンコール・ワット展」が、今日から山梨県立博物館に巡回した。「世界遺産」が一つのブームであるが、アンコール・ワットこそ実物を観てほしい。「〜展」と云っても、たぶんアンコール・ワットは持ち込めないので、展示は「考古学博物館」に並ぶような「石仏のみ」となる訳で、「アンコール仏像展」となっているのであろう。(失礼)
カンボジア世界遺産アンコールの大伽藍には、往時の人たちの約600年にわたる知恵と、その時代の最先端の科学技術が盛り込まれている。アンコールの都城や王宮を建設するためには、巨大な人的資源が必要であったと思われる。
そもそもアンコール文明とは何か。シェムリアップ周辺約300平方kmの広さの中に9世紀から14世紀にわたり大都城、大寺院、王宮などを造営し続けた文明である。アンコールは、「都市」を意味する梵語「ナガラ」がクメール語化した名称である。(蛇ではなかったっけ?)9世紀以降、都城と寺院と王宮が26名の王たちによって次々と建設された。即位した王たちは、新王としての権威を誇示するかのように、自らの手でこれらの三大建築を建設しなければならなかったようだ。その王たちとはどんな人物であったのだろうか。
今回の展示では、碑文や発掘出土品等から、そうした王の思いや実像に迫ってほしい。ここで「意識(匂い?)」を入れてから本物を観に行けば、石の塊としか見えなかった遺跡が美しい建築(伽藍)として感じ取ることができ、「アンコール遺跡」にハマること請け合いです。