地図の力

ナビに限らず地図を見る(読む)と地図に従ってしまう(誘導される)経験はないだろうか。地図を見て目的地までのルートを計画する際、「地図の道」に誘惑されるというか、地図を開くと「もともと持っていた感覚的な道順を捨てさせるような」力があるように思うときがある。
「住宅地図」、「道路地図」、「市街地図」や「観光地図」など読み物になったものまであるが、皆、製作サイドの「意図」や「作用」が刷り込まれているようである。
以前(2007年度版)このミスがすごい!第一位、という幅広の帯が付いた平山夢明の「独白するユニバーサル横メルカトル」という意味不明であるが、語彙に引かれるミステリがあったのを覚えているだろうか。ここで云う「ユニバーサル横メルカトル」とは、「地図」のことである。全て「地図」から見た世界を描写しており、「地図」の告白(一人称)で語られている。物語りの設定も「ここまで来たか」と敬服する反面、何が楽しくて「地図」を主人公にしてるのか不可解でもあった。物語りの中では、地図に限らず紙面的なものは全て「言葉」を持っており、八百万の神的な存在を暗示しているようでもある。地図の持つ「力」をミステリに仕立てた異色作。
ユニバーサル横メルカトル(UTM図法)は一万分の一〜二十万分の一の地形図に利用される地図投影法の一種で、通常のメルカトル図法より歪みが少なく中規模縮尺向きの図法。
(「独白」するとこれハズレかな・・・、