ホテルにて

この時期には珍しい雨。こんな日はホテルに籠って日記を書くのもいいかもしれない。アメリカもものすごい雪のようで官庁も休みだとか。窓から見える通りも行き交う人は少なく、街は早くも眠りに入り始めたらしい。予定していた立会いがキャンセルとなり、予定外に早くチェックインとなったため、普段泊まるのみの部屋を利用する時間ができた。デスクスタンドの暗い灯りの中で、備え付けのホテル名の入ったメモ用紙にペンを走らせてみる。滑りの悪いインクは筆圧を強め、下の頁まで跡を残す。見開きのファイルに納まる施設案内を取り出し、カバーを下敷きにする。
廊下を行き交う足音に姿を想像しながら、一昨日からの行動を追ってみた。時差があると移動時間が消え、西側への飛行はタイムマシンのようで不思議である。移動はほとんどシートに縛られ休むしかないが、なぜか身体への圧力が創造を生むらしい。次作の構想を練るために長距離を移動するのはいささか不経済であるが、この体感を味わうとサッカー観戦に行く輩並みに収穫は大きい。
赤土の舞う乾燥した空気が非日常感を提供し、程よい血糖値の上昇が脳に幸福をもたらすようである。異国とは見たことのない母国よりなぜか現実味があり、己をつかむには好環境と自覚してしまうのは浅薄なのであろうか・・・。
そろそろ夕食へ出てみます。16時50分