続続カラヴァッジョ

カラヴァッジョのリアリズムな作品でやはり有名なのは『ホロフェルネスの首を切るユディト』(ローマ国立古代美術館蔵)ではないだろうか。同主題が多数存在する作品だが、通常この主題の扱いは、ユダヤのヒロインであるユディトが自ら切り取った敵将の首を手に持つ姿で描かれるが、カラヴァッジョは死の苦悶を生のまま最大限に表現している。ユディトはアルカイダの処刑様に(少々問題表記だが)まるでのこぎりを引くように首を切っている。(赤い毛糸状に血の噴出す描写あり)胸部豊かな美しいお姉さんが、眉間にしわを寄せ恐れながらも、きっちり仕事をしている姿は、彼の「動画たる優雅さと」明暗法(背景を暗くし人物に強い光を当てた表現)を十分に発揮した作品と云えよう。特に横に佇み彼女の采配を見守る付き人の表現たるや、恐ろしい程にリアルである。農民風なしわだらけの老人の驚愕の眼差しで息をのむ姿は、兇行な場面であることを観る者に与えている。(いい画だ。
でも一番僕の欲しい作品は、『キリストの埋葬』(ヴァチカン宮殿絵画館蔵)です。エル・グレコの「オルガス伯の埋葬」的な構成をさらに抽出させた傑作です。(正統な作品のため論議を呼ばなかったが)キリストの重量感を巧みに表現し、トレドのサント・トメー聖堂と同じく、画面から実際に墓坑へ引き下ろすかのような、だまし絵的な「生」の映像です。
(ぞくぞくしてきた。気持ちだけはカラヴァッジェスキなんだけど・・・、