グエル公園の大階段

名階段散歩

スペイン・バルセロナ「云わずと知れたガウディの建築」。この大階段、あのローマの休日の「スペイン階段」をにおわせる滝のような「上から水を流したくなる」瑞々しい階段です。
正面高台の上には、ギリシア神殿風な極太なオーダーがそびえ建ち、左右二手から流れ下りる階段は向き合いながら合流し、本流となってまた二手に分かれます。両側をガウディらしいグロテスクな岩モザイクによる「くし」のような物体に囲まれ、二股の間には熱帯植物のプランターが納まり、さしずめジャングルに現れたイグアナのような姿です。この瑞々しさをつくり出しているのは光沢のあるタイルで、一つとして同じ形のない破砕タイルのモザイクが、全面を覆っています。とくに「蹴上げ」部分の白と淡色が交互に貼られた縦目地(もちろん垂直ではない)が水を流したように見えます。この柔らかく生き物のような階段も、やはり「スペイン階段」と同じく、「下りるための階段」です。「絵的」には「下から見上げるつくり」ですが、この階段は、下りのエスカレーターのように、「上るのを拒む」のです。
上の地上階にある展望庭園を支えるオーダーの列柱と、下に続く階段がセットになり、一つの巨大神殿をつくり出しています。ガウディモザイクの傑作とも云えるランドスケープな建築です。
(この神殿、どうにも「タイムボカンの顔」に見えるのだが・・・、(古、