名前のないバルコニー

建物に付属する部位の名称はあいまいに名乗っている例が多い。
地面から近いところから云うと、日本語の「犬走り」これは基礎を土の湿気から守る役割で、コンクリートの基礎となってからは、基礎の汚れ防止にと用途を変えている。建物周囲を舗装したものです。「テラス」は庭に張り出した「屋根のない」舗装された土間空間のことで、「ベランダ」はこれに屋根の付いたものです。インドのベンガル地方で、炎暑下の中で涼をとるつくりとしてヒンディ語を語源としていますが、植民地時代英国人も住まいに導入して、後にはアメリカに渡り、邸宅の一般的スタイルとして定着していった。明治時代日本に西洋建築が導入された際、多くの洋館がアメリカ風につくられ、流行りであったベランダが神戸や長崎の異人館に採用されています。ゆえに、「ベランダ」とは地上部分にあるものを云います。類似なものにポーチ(ポルティコ)がありますが、これは張り出し屋根のある「玄関先」のことです。
問題なのは「バルコニー」で、これは「張り出したもの」という意味なので、室外に張り出して設けられた「屋根のない」手摺り付きのステージのことです。(屋根はないが、階を重ねると上階のバルコニーが屋根にはなるが)とすると、『張り出していないバルコニーに類似したもの』の名称がないことになります。「屋根の上」にあるものや、屋根の中に「入り込んだ」床面積に含まれそうなタイプの「外部空間」のことです。屋根のかかったものは「2階のテラス」、入り込んだものは「2階のベランダ」とでも呼べばよいのでしょうか?(劇場の張り出し席もバルコニーと云いますが)
類似名として、天蓋の「キャノピー」、涼をとる廊下の「ロッジア」があるが、日本語にはなりそうもない。
(それよりパティオのある家に住みたいです。日本では全てバルコニーでいいんじゃない?