住まいの範疇

IT世界の速度に対して住まいのスタイルが昭和のままなのはなぜだろう。それは有名ブランドの商品が長年つづくのと似ていて、住まいが住宅産業の「商品」となってしまったからである。
住まいの原点は「外敵から身を守る」、「暑さ寒さをしのぐ」、「夜間休むところ」といったようなシェルターの機能であったと思う。これは外部とのプライバシーの確保であるが、とすると今の住まいは過分な性能を備えた反面、元来の機能を満たしているか疑問である。そもそも「住宅」といったものの概念が完全に固定されてしまっている。リビングという名の空間があり、子供部屋という曖昧な自立心のための個室、ベッド生活が増えたのになぜかバルコニーやベランダに類するものがついている。これに緩勾配の屋根が載ったものが現在の日本の住まいのスタイルである。
古来より住居にあったものは、「寝所」と「食事処」(昔は同一部屋)であり、排泄場所は外にあった。オプションとして衛生のための浴室である。(しかし衛生上必要なのは洗い場であり、浴槽ではない。西洋ではシャワーのみ、インドなどは川で沐浴である。)少々無駄口をたたいたが、ここから本題(咳ばらい)
これらシェルターとしての原点の機能を追及しつつ、「住宅」の概念をとり払った建築を「住まいの範疇」に入れよう。(どこかで聞いたようなセリフですが・・、というのが「維新時代(変わり者が生き残る世界)」の設計者の仕事ではないだろうか。「範疇に入れる」というのは「住宅といえるかどうかギリギリの線」的な建物のことである。
(とりあえず範疇論科学を勉強しましょうか・・・。