落水荘事件

ミステリのタイトルのようだが・・・
クライアント(依頼者)との不倫、使用人による夫人殺害、度重なる火災等、「災い」の絶えなかった「天災」建築家のライトだが、「事件」後はさすがに仕事がなかったようである。
そんな不毛な時代に終りを告げる、第2黄金時代の幕開けとなったのが「落水荘」だ。それまでの「家の形をした住宅(草原住宅)」の記録を捨て去り、人格障害のごとく才を発現させた。森の中の滝の上という建築のステージとしてはあり得ない「究極の地」を選び、環境の持つ視野(森の垂直性と水場の水平性)とエネルギー(森の静寂性と滝の発動性)を取り込んだ、「神殿」のような建築である。岩場の持つ緊張感がキャンティレバーという緊張力を表した構造を生み出し、水の流れにより、その緊張感を消し去る「釣り合いの原理」を含浸させている。(・・・、人を「be into」させる狂想曲的螺旋階段的印度的秘密の花園的ビジュアル的オフィーリアのような「館モノ」である。(??、
(この落水荘のデザインそのものが事件である。