足音

建築の「音問題」というと、集合住宅などの階上住民との「歩行音」トラブルがある。
静音設計の床材や吸音材などが開発されているが、ハード面のみの改善が解決策なのだろうか。考えられる原因の一つに、「靴」がある。日本人もかつては下駄か草履をはき、つま先ないし足の裏全体を使って歩行していた。靴という外来の履物が普及したことによって、歩行に関して二重生活を強いられることになってしまった。かつて下駄や草履、つまりヒールのない履物をはいていたから外でも畳の上と同じであった。だから足と下肢の運動を継続することができた。しかし、靴(靴は踵(かかと)から歩くように出来ている)をはくようになって、踵の位置が家の中では床面際、外ではヒールの分だけ上がってしまい、歩き方を変えることになる。ところが、その使い分けを今の人にはできない。室内でも踵から着地するので「音」が発生してしまう。身体に「外歩き」が優先普及してしまったのである。柔道を習ったことのある人は理解しやすいが、畳の上の歩き方(移動の仕方)を最初に習うはずだ。(本来習うようなことではないが)畳の上では、足の前半分(つま先側)のみで歩く。踵が着いているように見えても体重はかかっていないのである。これができる人は足音がしないのです。「音問題」を解決するには「旧人類」に進化する必要がありそうです。
(僕は猫足が備わっている分、外歩きが困難です。