五日目(後編)

午後は前回見ていない遺跡を訪ねます。(ツアーには含まれない物件です。
アンコール・トムの手前脇に「バクセイ・チャムクロン(鳥の舞う都)」という小さな遺跡があります。これはマヤかインカ風な勾配のきついピラミッドで、ラテライトの3段の基壇の上にレンガ造りの祠堂が載っているのみのシンプルだが、スタイルのよいヒンドゥー教の遺跡です。アンコール・ワットより古く、段状ピラミッドの上に祠を載せる姿は、後に続くピラミッド型寺院建築のプロトタイプとも云える。
多聞に漏れず階段はきつく古いゆえ、段板は丸みを帯び、上るには根性がいる。(「階段」があったらまず上りましょう!)規模は小さいとはいえ、基壇上部まで上ると高さがあり、神の領域と思えなくもない。後は下りるだけだが、この手の階段は踏み面が小さいので、上から見ると「絶壁」です。(・・・、)腰がスースーします。ただ階段の幅が狭いので、壁を触れながら下りることが出来ました。
基壇や手すりなど、水平部がたくさん造られているのは、神としての鳥に居てもらうためなのだろうか・・・と(ふと)
次はアンコール・トムの中にある「ピミアナカス(空中楼閣)」です。これも段状ピラミッドだが、最上段の周囲には回廊が回り、宮殿的なつくりである。中央の祠堂は破壊されていて、階段も傷みが激しく、手すり壁もほとんど脱落しているため、上るのは非常に困難である。特に南側の階段は70°程ある。(ほとんどハシゴのような壁)なぜこんな所に上るかといえば、ここは儀式の場だったらしく、王のみが夜な夜な通う秘密の場所と聞けばね〜・・・そうそう(嵐の曲ではない)いつも、このアンコール遺跡群どこへ行っても「子供の物売り」です。クロマー(スカーフ)から絵葉書、手作りの小物などを「いちどる」と言って襲い掛かります。(・・・、)少し見てみようと立ち止まろうものなら、二人、三人と寄ってきて・・・でもみんなかわいい子だから・・・と心許す訳にはいきません。人気者はつらいです。(・・カモにされてるだけ)一個1$は高いぞ。
・・・さて、今回の本命は「タ・ケウ」です。クリスタルの古老という意味を持つ、アンコール・ワットの試作品ともいえる山岳型寺院建築の傑作です。が、未完成です。王の突然の死によって(落雷があったため凶事として建設を中止したとの説もある)石材を積み上げた状態のまま、彫刻のほとんどない姿で「完成」している。これにより、クメール建築が積み上げてから彫刻するという製造過程を知ることができる。この角型のモザイクのような建築は、彫刻品になってしまった寺院建築より一層「建築物」として見え、石材造形の美しさを醸し出している。(マニア必見である)
最後「バンテアイ・クデイ(現在も国際調査団が研究中の遺跡)」というバイヨン寺院様式の迷路のような複雑なつくりの寺院を見学し、帰路についた。ドクさん一日ありがとうございました。まだまだ見たいものはありますが、またの機会です。
(明日はUターンです。