風の誘い

インドへ誘われる本を見つけた。「風の誘い(茂市久美子著)」
骨董通りの絨毯屋」から始まるこの物語りは、「遠い見知らぬ国」に憧れを抱いていた旅行会社勤務の主人公(彼女)が、ひょんなことからインドへ絨毯の買い付けに行くことになる。・・・彼女は旅好きで、旅行社に就職したものの、欧州都市部への「買い物ツアー」中心の添乗業務に嫌気がさしていた。・・・
何かに誘われるように会社をやめ、風に導かれるように「インド」へ旅立つのである。行く先々での不思議な体験は幻想的であり、また仕組まれたような出来事でもあり、彼女の中に眠る「夢幻の国」のイメージに次第に近づいて行く。・・・ジャイプル、アーグラ、デリーと昨年周ってきたインドと同じ都市の描写があり、スーっと残像がリンクし・・・まさに風に誘われるように書の世界へ入ってしまった。「作中作」のスタイルの如く、どこまでが物語りかを曖昧にさせ、作者の紀行文のような表記でもある。
すぐにインドへ行ってみたくなる本で、「旅」とはこのようなものではないかと、考えを新たにさせる「インド入門書」(汚いイメージを与えない)と云える。
やはりインドとは「己を変えたいとき」に、誰もが風のように導かれる「宇宙」であるらしい。(風の宮殿には384人の風の精が宿り、風のバザールへ誘ってくれるという。
(サリー姿の女性。僕には「夢幻の国 」のイメージがアラビアンナイトと重なります。