「木の家」

新築の木造住宅は、夜中に「ピシっ」と音がすることがある。(夜中は静かだから、)これは木材の乾燥収縮で、製材により空気に触れた面が、急激に乾燥し始めることや、建物の荷重により、曲げや圧縮によって生じる「きしみ」音である。木材は伐採された後も生き続け、建物が完成しても二年程は、季節変動の温度差で生じる乾燥収縮によって音を発する。
木材は計算上では、無欠陥の杉なら50mm角程の断面で十分な柱の強度がある。しかし、現実には、割れ、反り、節などがあり、安全を見込むと100mm角以上でないと実用には適していない。
ところで、木材の真比重はどの樹種でも「1.65」程で、バルサ紫檀もみな同じであるが、「檜(ひのき)」は違い、なぜか「ヒノキの家」が好まれるかは、檜が長持ちするからである。例えば、杉より3倍程年輪が細かく、変形も少ないからである。
樹齢100年の木は、建設後も100年以上もつと云われる。山の南斜面に育った木は、そのまま南に向けて使うと変形しにくい。また逆さに使うと「逆木」といい、寿命は半減する。その他、木材には「アテ」と呼ばれる部分がある。斜面に生えた木が根元(腰)から曲がって伸びた部分のことで、この部分を使うと、時間経過とともに曲がりが強くなったり、反ったりしてとんでもないことになる。(へそを曲げるのだ)どうやら「アテにならない」という言葉は、ここから来ているらしい。
木は人間で云う「三つ子の魂百まで」の如く、成長過程の環境を覚えているようである。
(三歳までに英語を聴いておけば「英語耳」になっていたのにな〜