「減築」

減築(げんちく)」という言葉がある。もちろん増築に対しての「逆の行為」を意味する。今までの住まいから、家族や生活の変化に伴い不要となった部分や「改善のため」に、床面積を減ずることである。昨今のエコブーム(光熱費の削減や風通しを良くするなど)で再び聞くようになった言葉だ。が、
これまで住まいは家族の成長に伴い、部屋を増やすことや、広くすること(増築)がリフォーム(これはベトナムドイモイ(刷新)と同意語で、建物の改良・改造は本来「リモデル」が正しいのだが、日本ではこちらが一般的なので使用させて頂く)の中心であった。また、「子供部屋のある家」をつくるのが、家づくりの原動力でもあった。
ところが、広い、大きい家が必要な時間は存外短く、部屋数のいらない時期は瞬く間にやってくる。そんな「先の姿を読めなかった方や、先を読み誤った方(子供が同居すると決め付けていたなど)」のために、「減築」という方法があります。
例えば、北側に部屋が並ぶと風通しが悪く空気も澱むので、北側の中央部分を取り除くことにより、「中庭」ができ、全ての部屋に採光・通風が確保できます。二階などもいらなくなった部屋は床をなくし、吹き抜けとすることで広さを取り戻したり、暖まった空気を上へ逃がす方法などもあります。(「取る」ことにより、耐震性が劣る場合が多いので、補強工事と兼ねることになりますが)
省エネや、労働力(掃除量の減少)ばかりでなく、ダウンサイジングは家事負担低減による精神衛生上の改善や、侘びしさの低減など、メンタル面でも効果的手段ではないだろうか。空いたところに一本「木」を植えるだけで「エコな気分」になり、床や壁が減った分、「増築」より新鮮さ(改善感)を実感できそうです。色も効果的に使うことで、新築時に及ばなかったデザインにする良い機会でもあります。
(○○邸減築工事・・・・あまり聞きませんね。