僕の好きなカテドラル

サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂

イタリアバロックは二人の建築家の出現で頂点を迎える。「フランチェスコボロミーニとジャン・ロレンツォ・ベルニーニ」である。一年違いの生年の両者は、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂の現場で出会う。ベルニーニの下、年下のボロミーニが加わり、こちらも史上に名を残す大建築となった。(ドームはミケランジェロ
そのボロミーニの手がけた最高傑作が『サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ教会』である。サン・ピエトロに肩を並べる程の存在で、4世紀以降延々と改築を繰り返してきた。1650年、教皇から「聖年」を機とする内装の大改築を依頼された。
奥深いバシリカ形式の聖堂は、中央を長大な身廊が貫き、その両側に二つずつの側廊を配した五廊形式である。この中央の両側の壁を飾るのが、まるでミケランジェロの立像彫刻を彷彿させる「十二使徒」の巨大な像で、プルシャンブルーの美しいコンポジット式(イオニア式とコリント式のMIX)オーダーの囲う各ニッチに配置されている。しかもこの像はほとんど「片手を手前に出したスタイル」なので、身廊の手前から眺めると使徒たちの「手だけ」が壁から飛び出していて、その動的な姿は、この厳粛空間を破壊するかのような「劇的」な大道具となっている。(「順に巨人たちがアリーナへ降りてくる」一つのステージのオープニングセレモニーの如く・・・)
この「劇場」を飾る床、壁から天井は「幾何学的美術」によって埋められた「ヴィジュアル建築」となっていて、大聖堂というより数々の「作品」の並ぶ姿は、まさに「神の美術館」である。(内陣に立ち上がる「やぐら」に掲げられた3枚のキリスト画を前に時間が止まってしまった・・・、
(「青がつくりだす力」にはまってしまったようである。(涙の出る美しさ・・・。