スローハウス

スローライフと云えば「スローハウス」ですね。スローハウスとは、その地(各国)の風土や生活から「自然派生的に生まれた家」のことで、「建築家(設計者)なしの住宅」のことを指すようです。昔の家には設計者など存在せず、「棲むために」自らが施工主となって、(地域の人の協力もあり)地産の材料で、見よう見まねや、先祖の家をリニューアルするなど、地域限定の歴史や文化がつくり上げた住まいとも云えます。(長生きする家だな
夏になると聞く言葉で、「住まいは夏を旨とすべし」吉田兼好徒然草の有名な部分ですが、大昔(およそ700年前)から住まいは夏の蒸し暑さに対して、「つくり」を配慮してきた様子が伺えます。
この夏の暑さに対して究極の「スローハウス」と呼べる家に、神奈川県秦野市に建っていた「北村家」がある。(現在は川崎市の日本民家園に移築されている)北村家の姿は、ごくフツウな茅葺き屋根の民家であるが、玄関の土間へ入ると、「竹の床」の「ひろま」が目につく。なんと根太の上に飴色に光る真竹を敷き並べて紐で結んである。(ボルネオのロングハウスみたい)まるで「鮎漁の梁(やな)または美しく例えるなら月見台」のようなスパルタンな床で、夏の時期には程よい弾力と、ひんやりさが心地よいが、隙間に指をとられそうでもある。実際は「むしろ」などを敷いて生活していたと思われるが、床下から風が通り、まさに「夏を旨とした」家である。(南国ムード〜
竹というのは、堅牢性、弾力性、強靭性、低伸縮性に優れていて、抗菌性や脱臭効果もあると聞く。約3年で成長するので、非常にサスティナブルな材料と云える。竹が建材として利用されたのは、大きな木を製材するのが容易ではなかったことと、入手のしやすさと、庶民の財力に向いていたと思われ、決して今でいう「リゾートデザインを狙った」訳ではなさそうである。(スローに生きるためですね。
(涼を求めた訳ではないんですね。・・・蟲が這い出てきそうだし、