衣替えする家

長野県下水内郡栄村。(昔は秋山郷と呼ばれた)ここは白川郷などに匹敵する豪雪地帯で、その厳しい冬を乗り切るために、この地の先人たちがつくり上げた独自の住まいが存在していた。
一番の特徴は、人間のように四季の節目である初夏と、初冬に衣替えをするというのだ。それは京都の町家のように、ちょっとした日除けや、建具の入れ替えといった簡易なものではなく、住宅を「薄着」・「厚着」に着替えるという外壁の「仕様変更」なのである。
この家は「カヤの家」とも呼ばれて、外壁はカヤで葺かれているので、屋根材と同様断熱性に優れている。秋になると、刈り取っておいたカヤを束ね、厚く葺く。(30cm程)冬になると、湿って傷んだ外側のカヤを取り去る。こうして壁の厚さを変え、環境に対して備えてきた。使い終わったカヤは堆肥や燃料に利用され、自然へ帰して行く。(もともと日本には、「住まいは仮の宿」的発想があり、度々つくり替えるということが、「自然」なのであった)
床なども原始的で、土間の上にもみがらやワラを敷き、その上にムシロやカマス(ムシロを袋状にしたもの)を敷いただけのものである。(土座床という)これは地熱を利用した究極の床暖仕様なのだろうか。(「床下」をつくらないことが、風が通らず暖かいと云うのだが・・・、
(豪雪地帯でこのつくりなのだから、現代人はエネルギーに頼り過ぎてますね、、