アプローチ

アニメや映画などで見かける「お金持ちの家」は、入口の門を抜けてから森か林を思わせるような樹木の間をしばらく走り、やがて公園の広場のごとく広い所に「様式と化した邸宅」が現れる。というのが決まりである。このように門と館との間の距離は、たいてい屋敷の持ち主の財力に比例していることが多い。(マイケルのネバーランドは規格外だが、、
今の日本では、このような「お屋敷」に「お住まいになる方」に「お目にかかる」ことは難しいが、これに近い雰囲気を体感することは出来る。東京上野(東京メトロ千代田線「湯島駅」下車)にある「旧岩崎邸庭園三菱財閥岩崎久弥邸)」である。(あの弥太郎のww
この岩崎邸へのアプローチは、門を入ると北へ向かってゆるやかな坂を上ってゆく。周囲はうっそうとしたヒマラヤスギの林である。途中から左へカーブし、突き当たりをさらに左折すると「前庭」へ出る。(建物に対しては南から近づくことになる)現在の屋敷の規模は往時の三分の一程となっているが、そこはやはり「お金持ちの家」である。
この洋館「ジョサイア・コンドル」の設計で、明治29(1896)年に完成している。17世紀の英国ジャコビアン様式を基調に、ルネサンスイスラーム風のモチーフが採り入れられた、明治期の上層階級の邸宅を代表する本格西洋木造建築である。
前庭には「シュロの木」が迎え、その奥にそびえる「建築史家の藤森教授(小田和正と同級)の顔が浮かぶような?」洋館が佇んでいます。ここへ来るまでの誘導路の林の「隔離性」は、「異国」へスリップさせる心憎い演出であり、この小道は、訪問者へ心理的身だしなみや精神的シフトをさせるに十分な空間と云える。
(住まいは「建物へ着く前」に「出来」が決まっているのかもしれません。3日は秋田竿灯祭。