洋館の屋根裏

その「洋館」だが、、
洋館を特徴付けているのは、急勾配の屋根と屋根に取り付いた窓(ドーマー)の存在ではないだろうか。この「屋根窓」はヨーロッパの、特に北方の雨や雪の多い地域の要素であるが、もちろん外から見たときのエクステリアデザインの一つでもある。もともとは急勾配の屋根の下の小屋組が抱える空間を、屋根裏部屋として利用するときに、その部屋の明かり採りとして必要だったのである。この小さな窓から光を入れて薄暗い部屋がつくり出され、ホテルなら安い部屋、住まいなら物置きか、あるいは使用人や下宿人の部屋などに利用された。
「屋根裏部屋」というのは、僕にとってはなにか「ミステリの舞台」のイメージが強く、好感度大である。屋根の傾斜がそのまま寝台の上を横切って下りているところに、トンネル状に開けられた明かり採りの窓際などは、なんとも「ワクワク」しますね。「魔女の宅急便」のキキが泊まった「おそのさん家の離れ」などがまさにこれ。(この窓から橙褐色の屋根の広がる街並みなど見えたら最高である。(グラーツェ、、
しかし、日本の民家にも蚕などを飼う大きな屋根裏があるし、明かり採りの開口部もないわけではないが、そこはどうしても暗く陰鬱な場所としての雰囲気がある。日本の屋根裏はまさに天井裏で、「ススワタリ」や、蟲やもののけが棲む場所として、人の居住スペースではない。「屋根裏の散歩者や陰獣」でも犯罪者の活動エリアである。(天井裏の散歩者というパロディ作もあるが)
日本では洋風建築の移入とともに導入されたが、定着しなかったのは、やはりアジア的気候のため、特に夏は酷な空間である。(夏は下階の「断熱材」として利用するのがよい。
(ともかく洋館の屋根裏部屋は、安息をもたらす(閉所嫌いには当てはまらないが)精神的な「隠れ家」になりそうである。(いい、