あかり

「あかり」には二つの意味があり、二つの字があります。「明かり」と「灯り」です。云うまでもなく、「明かり」は自然光(太陽光)のことで、「灯り」は「燈火」で焚いた灯り、すなわち照明のことです。そしてこの二つの「あかり」が建築や住まいの重要な要素となる訳です。
まずは「明かり」。「昼の住まい」は出来るだけ「灯り」を燈さず、上手に自然光を採り入れる方法を考えたいものです。しかしこれは大きな開口部をたくさん開ければ明るい住まいになる、ということと同意ではありません。例えばガラス張りの家など明るいかもしれませんが、これは「明かり」ではなく、「日向」です。「光り」は「日陰(光を遮る壁)」あってこそ「明かり」となるからです。もちろん開口部が多いということは、耐震問題を抜きにしても「暑い」、「寒い」という反エコな付属要素もついて回ります。
もう一つの「灯り」。日本の住まいは蛍光灯が普及してしまったおかげで、一部屋均一照度の明るすぎる空間が標準仕様のようになっています。器具の選択基準も、長く居る部屋(居室)は蛍光灯、短時間利用の部屋は白熱灯という程度。外国のドラマに出てくるような、部屋の用途によって、又は空間の中でも利用エリアによってそれぞれ「灯り」が役割も持っています。それもほとんどが白熱灯である。白熱灯は「火の色」で、太古よりの灯りの色と同じなのです。「喰う寝るところが住むところ」と考えるならば、交感神経を刺激しない「灯り」が望ましいと云えます。(蛍光灯は交感神経を刺激するため、仕事場に向いています)
ところが昨今の間違ったエコ対策のため、白熱灯の灯りが消えつつあるのです。消費電力のみの比較により、蛍光灯かLEDのみの世界に変わってゆくかもしれません。LEDなど全くの人工照明で、「ランプ」ではありません。「発光体」です。Co2排出は削減できますが、ほとんど研究施設のような『無菌質』な灯りです。
(未来は明るいようです・・・、