ミレーの誕生日

ジャン=フランソワ・ミレーは、1814年10月4日、フランスノルマンディー地方の寒村グリュシーの農家に生まれた。
山梨県立美術館の目玉は相変わらず「種蒔く人」だが、この作品はほとんど同じ構図と寸法で描かれたものが、ボストン美術館にもある。しかしなぜか美術書にはみな「ボストン」を掲載している。(実際、色合いなどがわずかにボストンのものが鮮やかでよいのだが・・)
バビルゾン移住後の最初の作品で、1850年のサロンに出品された。その題材は、古来キリスト教でイエスを「種蒔く人」として表現したことに由来しているが、当時の風潮から、「天に向かって葡萄弾を投げつける民衆の威嚇」とまで揶揄された。(余りにも暗い色使いで上手い絵なのか判らない)やはりミレーの作品で優れているのは、「落穂拾い」や「晩鐘」だろう。刈り取りの終わった畑に落ちている糧を一粒一粒拾っていく作業を描いたもので、最も貧しい農民が行う辛い労働を表したこの作品は、政治的プロパガンダの意味合いが強い。その点、「晩鐘」は夕方の鐘が鳴り、農作業の手をとめ、帽子をぬぎ、大地への感謝と哀れな死者への祈りをするシーンである。(穏やかな気持ちにさせてくれる作品です。
(遠くに鐘楼の影を望む姿は、「新世界からの一部」が聞こえてきそうである。